株取引の利益にかかる税金

7月 08
2010



個人であっても会社であっても、収入があった場合には税金がかかります。会社が利益を上げれば法人税を払う必要がありますし、個人の収入には所得税や住民税がかかります。これは株の取引で利益を得た場合でも同じです。

1年間の売買を通して利益が出た場合は、所得税/住民税の課税対象になります。株の利益に対する税金は、他の所得とは別に課税されます(これを「分離課税」と呼びます)。税率は、原則は所得税が15%、住民税が5%で、合計すると20%です。

例えば、次の表のように年間で3つの銘柄を売買して、損益の合計が25万円になったものとします。

この場合の所得税と住民税は、以下のように計算します。
所得税=25万円×7%(0.07)=17,500円
住民税=25万円×3%(0.03)=7,500円
所得税と住民税の合計=17,500円+7,500円=25,000円
なお、年間を通して損失になった場合は、株の売買については所得税/住民税ともにOになります。また、あとで学びますが、「損失の繰越控除」という処理をすれば、今年の損失を繰り越して、翌年以降に株で利益が出たときに、所得税/住民税を安くすることができます。





株取引の納税と特定口座

7月 08
2010



株の売買に開する税金は、原則として確定申告して自分で納付することが必要です。ただし、日本では会社員は所得税/住民税は源泉徴収されていて、自分で確定申告している人は少なく、申告に不慣れな人が多いことでしょう。そこで、証券会社に税金の申告を任せることができるようになっています。

その際に使うのが「特定口座」と呼ばれる口座です。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類がありますが、ここで「源泉徴収あり」を選択します。

この場合、株を売買して利益が出たときには、証券会社が税金を源泉徴収して納税してくれます。また、損失が出たときは、源泉徴収済みの税金から一部が還付されます。通常は、自分で確定申告をする必要はなくなります。

なお、特定口座の開設は、証券会社に口座を新規開設する際に一緒に行うようにします。





複数の証券会社を使い分ける場合

7月 08
2010



証券会社によってサービスや手数料体系に違いがあるので、複数の証券会社を組み合わせて、取引ごとに最適な証券会社を選ぶ、という方もいることでしょう。その場合は、納税が複雑になります。

すべての証券会社で利益が出ている場合は、源泉徴収で納税は完了します。この場合は問題ありません。しかし、損失が出ている証券会社がある場合は、源泉徴収のままだと損をしてしまいます。

例えば、次の表のように3社で取引をしたとしましょう。A社とC社では利益が出ていますから、これらの証券会社では利益に対して10%の税金が源泉徴収されます。これに対して、損失が出たB社では税金はかかりません。 トータルすると、3万円の税金が源泉徴収されます。

しかし、実際の利益はトータルで25万円であり、その10%は2万5,000円です。 5,000円の税金が余分に源泉徴収されていて、このままでは損をすることになります。このような場合は、確定申告することで、とられすぎた5,000円の税金を還付してもらうことができます。





パート勤めの方が株を取引する場合の注意点

7月 08
2010



「パート勤めと並行して株もやってみよう」「パートを辞めて株で儲けよう」と思っている方もおられるかもしれません。この場合は税全面に注意する必要があります。

●株は儲けが出ると税金がかかる
まず、パート勤めと株との違いとして、「パート勤めなら年収103万円までは税金がかからないが、株は儲けがあれば一律に課税される」という点があります。給与収入に対する税金は、「基礎控除」と「給与所得控除」という額を引いた残りにかかります。基礎控除は一律38万円で、給与所得控除は給与収入が162.5万円以下なら一律に65万円です。

そのため、給与収入が103万円以下なら、基礎控除の38万円と給与所得控除の65万円によって課税対象がOになるので、所得税がかからないのです。給与収入がそれほど多くなければ、これらの控除があるために、同じ額を儲けても株よりパートの方が税金が少なくて済みます。

●「源泉徴収ありの特定口座」を利用する
証券会社の口座には「一般口座」と「特定口座」の2種類があり、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。既婚の女性が株取引をされる場合は、「源泉徴収あり」の特定口座にしておくことをお勧めします。というのも、それ以外の口座にした場合は、株で儲けが出ると、そのことが証券会社から税務署に通知され、問題が起きることがあるためです。

既婚の男性の所得税を計算する際には、通常は「配偶者控除」という控除を受けることができ、税金が幾分安くなります。しかし、「源泉徴収あり」の特定口座にしていない場合で、なおかつ配偶者が株で年に38万円を超える儲けを出した場合、そのことが税務署に通知されると、以下のような問題が起こります。

①ご主人が配偶者控除の対象から外れてしまい、ご主人の所得税が上がる
②配偶者控除がなくなると、ご主人の会社から扶養家族手当が出なくなったりすることもある

これに対して、「源泉徴収あり」の特定口座なら、株でいくら儲けても、そのことが証券会社から税務署に通知されることはなく、ご主人が配偶者控除から外れることはありません。しかも、税金は源泉徴収され、基本的に確定申告は不要なので便利です。

●複数の証券会社を使う場合の注意
これも先ほど学習したように、複数の証券会社に源泉徴収ありの特定口座を作って、儲かった証券会社と損した証券会社がある場合は、確定申告すると損した分に対応する税金が還付されます。

しかし、それによって株の儲けが税務署に知られると、上であげたような問題が起こることがあります。株の儲けが合計で38万円を超えていて、なおかつ損をした証券会社がある場合、確定申告して税金を還付してもらうよりは、確定申告せずに配偶者控除等に影響が出ないようにした方が、トータルでは得になることもあります。この点には注意が必要です。





株で損失が出た場合は繰越控除を受ける

7月 08
2010



年間を通して株の売買で損失が出た場合、その年の株の売買に間する税金がゼロになるだけはありません。その損失を翌年以降に繰り越して、翌年以降に3年間の間に利益が出たときには、今年の損失と相殺して税金を安くすることができます。これを「損失の繰越控除」と呼びます。 なお、損失の繰越控除を行う場合は、確定申告をすることが必要になります。

●損失の繰り越し控除の例
例えば、4年前の株の売買では20万円の損失が出たとしましょう。そして、おととしは5万円、去年は10万円、今年は15万円の利益が出たとします。
おととしの5万円の利益は、4年前の20万円の損失と相殺することができ、税金はゼロになります。また、20万円の損失のうち5万円を相殺しましたが、残りの15万円は去年に繰り越すことができます。

同様に、去年の10万円の利益は、繰り越した損失の15万円と相殺することができ、去年も税金はゼロになります。また、繰り越した15万円のうち、利益と相殺した10万円を除いて、残りの5万円は今年に繰り越します。

そして、今年は、利益の15万円と、繰り越した損失の5万円を相殺して、10万円が課税対象になります。

●損失を繰り越しきれない場合
前述の例では、4年前の損失をおととし以降の3年間ですべて相殺することができましたが、損失が非常に大きい場合は、3年間で損失を相殺しきれない場合もあります。そのときは、残念ながら相殺しきれなかった損失は、それ以上繰り越すことはできません。例えば、4年前の損失が100万円で、おととし以降3年間の利益の合計が70万円だと、30万円の損失が繰り越しきれずに残ります。その30万円は、それ以上繰り越すことはできません。





株式の確定申告の手順

7月 08
2010



損失が出ているときには、確定申告することで、税金が安くなることがあります(下の図を参照)。ここでは概要のみ学習します。詳しいことは、お近くの税務署に相談すると良いでしょう。

●年間取引報告書の確認
確定申告の時期が近づくと、証券会社から「年間取引報告書」という書類が送られてきます。この書類には、その証券会社で年間を通して損益がいくら出て、税金をいくら源泉徴収したのかということが記載されています。確定申告書を作成する際には、その損益額や源泉徴収税額を参考にします。また、年間取引報告書は、確定申告書に添えて提出します。

●国税庁ホームページで確定申告書を作成する
国税庁のホームページには、「確定申告書等作成コーナー」というところがあります。
確定申告書作成コーナーのアドレスは、https://www.keisan.nta.go.jp/です。 

ここを利用すると、パソコンの画面上で確定申告書を作成することができます。また、カラープリンタを持っている場合は、作成した申告書を印刷して、居住地の税務署に郵送することで確定申告をすることができます。
画面の指示にしたがって必要な事項を入力していくことで、確定申告書を作ることができます。





株式配当に対する税金

7月 08
2010



売買の利益だけでなく、配当に対しても税金がかかります。配当の税金は、基本的には確定申告する必要はありません。原則として、配当額の20%が源泉徴収されます(所得税15%、住民税5%)。配当は証書で送られ、証書には源泉徴収済みの配当額が記載されています。

●配当控除
所得が少ない人は、「配当控除」を受けると税金が戻ってくる場合があります。配当は、企業の税引き後の利益から支払われます。その時点ですでに税金が徴収されているにもかかわらず、さらに個人の所得からも所得税を徴収すると、二重課税になってしまうので、その分の控除が受けられるという仕組みです。

配当控除を受けるには、給与所得などの所得と配当所得とを合算した上で所得税を計算し、そこから控除額を引くという手順になります。確定申告が必要になるので、詳しい手順については税務署に問い合わせましょう。