そもそも「株」とは一体どういうものか

6月 05
2010



株取引について学んでいきますが、そもそも「株」とは一体どういうものなのでしょうか? 何となくイメージはお持ちかもしれませんが、はっきりとはしていない方も多いのではないかと思います。そこで、「『株』とはそもそも何か?」ということから、話を始めることにしましょう。

世界中の多くの国で「資本主義」が取られています。資本主義は、資本家が労働者を集めて事業を行い、利潤を追求するシステムですが、その資金集めの際に「株」が利用されています。株は資本主義体制を支える重要な要素なのです。

株で多くの人から資金を集める

まず、会社が「何か新しく事業を始める」ということを想像してみましょう。会社が新たに事業を始めるにあたっては、事務所を借りたり、机や椅子などの備品を揃えたり、また商品や材料を仕入れたりなど、さまざまなことが必要になります。そして、これらのものなどを揃えるためには「資金」が必要になります。

自分一人で資金をすべて用意できれば良いのですが、事業の資金となるとかなり高額なので、一人ですべてを用意するのはまず無理でしょう。そこで、知人などに頼んで、お金を出して(出資して)もらうことがよく行われています。

また、お金を出してもらった見返りとして、事業がうまくいったら、その利益を分配することも約束します。

このように、「事業を行うための資金を出資してもらい、その見返りとして事業から得た利益を分配する」ということを証明する書類が、「株」にあたります。また、事業を行う人に対して資金を出資する人のことを、「株主」と呼びます。さらに、株で多くの人から資金を調達して事業を行っている会社のことを、「株式会社」と呼びます。

「株主になる」にはどうすればいいの?

会社が資金を必要としている時点で出資に応じれば、株主になることができます。ただし、この方法で株主になる機会は、それほど多くはありません。

株は自由に売買することができるので、誰かが持っている株を買い取れば、その人に代わって自分が株主になることができます。一般的には、こちらの方法で株主になるのが普通です。

そして、その会社が上場されていれば、株は缶場で売買されるようになります。ここで、ようやく「株を売買する方法」の1つとして、インターネット株取引が登場します。「株式市場」や「上場」については、このあと学びます。

なお、普通の取引では株を買うだけでなく、名義を書き換えることで、完全に株主になることができます。ここで株券の保管について触れておきます。株券の保管には、保護預り、自己保管、保管振替制度の3種類の方法があります。

保護預りは、証券会社が単に株券を預かる方法で、本人への名義書換の手続きが必要です。また、自己保管は「タンス株」とも呼ばれるもので、自分の手元に株券を置いておく方法です。この場合も本人への名義書換の手続きが必要です。

保管振替制度は、株券を証券保管振替機構に集めるもので、インターネット株取引では、この方法が一般的です。証券保管振替機構が自動的に名義書き換えの処理を行ってくれるので、名義書き換えを意識する場面はまずありません。

株主の権利

株主になると、その会社に対していくつかの権利を持つことができます。権利は「自益権」と「共益権」に分けられます。

自益権とは、個々の株主自身が利益を得るための権利のことです。先ほど、「株を持っていると利益の分配を受けることができる」と述べましたが、これは「利益配当請求権」と呼ばれ、自益権の一種です。このほか、以下のような自益権があります。

・残余財産分配請求権→会社が倒産したときに、残った財産の分配を受ける権利

・名義書換請求権→株を取得したときに、自分の名義に書き換えてもらう権利
 
共益権は、会社全体の利益と目的を達成するための権利のことです。例えば、株主になると、「株主総会」という会議に出席して、その会社の経営に関する決議に参加することができます。これを「議決権」と呼びますが、議決権は共益権の一種です。このほか、株主総会の招集請求権や、取締役等の解任請求権などの共益権があります。

議決権は、株数に応じて与えられます。つまり、株をたくさん持っているほど発言権が強くなります。

「会社の利益をどう処分するか」「取締役を誰にするか」といった事柄は、議決権の過半数の賛成があれば可決することができますにれを「普通決議」と呼びます)。また、「会社を解散する」といった特別な事項は、議決権の3分の2以上の賛成があれば可決されますにれを「特別決議」と呼びます)。このように、会社の経営権を維持する上で、多数の株を持つことができるかどうかが非常に重要になります。なお、
3分の2や2分の1は、株主総会に出席している株主の議決権に対する比率です。

例えば、2005年初頭にライブドアがニッポン放送を買収しようとして話題になりましたが、ライブドアはニッポン放送の過半数の議決権を制したので、ライブドア単独で普通決議を行うことができます。ただし、フジテレビがニッポン放送の議決権の3分の1以上を持っていて、ライブドアの議決権は3分の2には満たないので、ライブドアの意思だけでは特別決議を行うことはできません。

株主の義務

ところで、株主になると義務もありますが、それはただ1つで「会社に出資すること」だけです。株を買って会社に出資すれば、それ以上の義務を負うことはありません。

例えば、会社が倒産したからといって、株主が借金を肩代わりさせられるようなことはありません(ただし、株が紙くずになってしまい、お金が返ってこないことにはなりますが)。




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