株価はどうして変動するか

7月 13
2010



株の値段は上がったり下がったりします。最近は会社の買収や新製品の発表などの要因で、上がり下がりの値幅が著しい場合があります。この上下動は一体どうして起こるのでしょうか。株価が上がる理由、それはズバリ「みんなが欲しがるから]です。逆に株価が下がる理由は「みんなが放り出すから」です。

築地の魚市場の競り(せり)の場面を想像してみましょう。初ガツオは、みんなが欲しがるので値段はどんどんつり上がります。仲買人や魚屋は仕入れ値よりもっと高く売れると思うから、無理をしてでも仕人れるわけです。逆に獲れ過ぎたサンマはどんどん値が下がります。あまりにも数が多いので誰も欲しがらず、肥料にする業者が捨て値で買っていくことさえあります。

物の値段は、それが必要とされると(需要の量が多くなると)上がります。一方、その物が多く出回ると(供給が多くなると)値段が下がります。そして、需要と供給が釣り合う点で、物の値段が決まります。

株も同じように、買いたい人が増えるほど株価が上がり、売りたい人が増えるほど株価が下がります。そして、買いたい人と売りたい人が釣り合う点で、株価が決まります。

株価は買った値段よりもっともっと上がると、みんなが思って買いに走るとき、どんどん上がっていきます。逆に商品の不具合が見つかったり、倒産の恐れあり、などと噂が流れると、持っている株の値段が下がる可能性が犬きいので、損をしたくない人はこぞって売りに走ります。

いま、上がり続けている株を持っている人でも、いつこの値上がりが止まるのか、いつ暴落が始まるのかを戦々恐々としながら見守っています。みんなが売りにまわり、株価が下がり始めたら、一斉に売りに出すでしょう。そうすると、どんどん株価は下がってしまい、時を逃すとマイナスにもなりかねません。





株価が動く主要因は業績

7月 13
2010



需要と供給は株価に大きな影響を与えますが、需要の大小に影響する要因としては、やはり何といっても会社の「業績」が大きなものです。業績が良くて利益が多い会社ほど、株価も高くなるといえます。

●1株あたりの利益が重要
ただし、単純に利益の大小で株価が決まるわけではなく、「1株あたりの利益」が重要です。1株あたりの利益は、以下のように計算します。

例えば、税引き後の利益が100億円で、発行済み株式数が10億株だとすると、1株あたりの利益は以下のように求められます。

利益の額が多くても、発行済みの株式数が多いと、1株あたりの利益は小さくなります。そうなると、株価もあまり上がりません。例えば、AとBの2つの会社があって、どちらも税引き後の利益が100億円だとしましょう。そして、A社は発行済み株式数が10億株で、B社は発行済み株式数が1億株だとします。

この場合、A社/B社の1株あたり利益は、それぞれ10円/100円になり、B社はA社に比べて1株あたりの利益が10倍になります。すると、株価もB社がA社の10倍程度になるのが普通です。

●利益が伸びている会社が良い
また、現在の1株あたりの利益が同じであっても、将来にさらに利益が伸びそうな会社と、このまま利益が横ばいになりそうな会社とでは、前者の方が株価は高くなります。

株価は将来を見越して決まる傾向があるので、利益が増えそうな会社なら、それを見越して株価も高くなるわけです。また、今の業績が良くて利益が多くても、将来に業績が悪化しそうだということになると、株価は下がってしまいます。

例えば、日産自動車について考えてみましょう。日産自動車は一時は業績が低迷し、99年にはリストラがらみで大幅な赤字を計上しました。しかし、リストラに成功して利益が順調に回復し、それに伴って株価も上昇しました。

このように、株価を決める要因として、「1株あたりの利益が多いかどうか」、また「利益が順調に伸びそうかどうか」ということは、非常に重要なポイントになります。なお、会社の利益を判断するには「損益計算書」という決算書を調べます。





会社の財務も株価に影響

7月 13
2010



会社の利益の大小は、株価を決める要因の中で非常に重要です。ただし、それだけではなく会社の「財務]の良し悪しも株価に影響します。 「財務」とは、大雑把に言えば、会社がどのように資金を集めて、どのように使っているかを指します。例えば、借金に依存している会社は、借金の返済に追われることになるので「財務状態が悪い」と言われます。

●財務体質が良い会社は株価も安定しやすい
例えば、A社とB社の2社があって、1株あたり利益が同じだとしましょう。ただし、A社は借金が非常に多く、B社は借金が少ないとします。この場合、A社とB社のどちらが株価が安定するでしょうか?

借金をしていれば、利息を支払うことが必要になります。お金を回りやすくして景気を活性化させるために、政策的に金利(利息の利率)は低く抑えられていています(いわゆる「超低金利」)。そのため、借金が多くても利息はそれほどではないかもしれません。しかし、もし金利が上がりだすと、多くの金利を支払うことが必要になってしまいます。

そのため、借金の多い会社は金利の影響を受けやすくなり、株価も不安定になりがちです。前述の例だと、A社はB社に比べて株価が不安定になることになります。借金が多くて不安定な会社は、「財務体質が悪い」と言われます。財務体質の良し悪しも株価に影響することになります。

●貸借対照表を見て指標をチェックする
会社の財務体質の良し悪しを判断するには、「自己資本比率」「固定比率」「当座比率」などの、いくつの指標を調べます。これらの指標を求めるには、「貸借対照表」(たいしやくたいしょうひょう)という決算書を使います。





株価が動く個別要因

7月 12
2010



株価の長期的な水準は、業績や財務によって決まる傾向があります。ただし、日々の細かな株価の動きとなると、ニュースなどの個別の要因の影響が大きくなります。これらの要因を、株の専門用語では「材料」と呼びます。さまざまな材料がありますので、1つずつ順に見ていきましょう。

●新製品の発表
もっとも分かりやすい材料としては、「画期的な新製品が発表された」というものがあります。画期的な新製品なら、その会社の業績に大きく貢献することが予想されるので、それを先取りして株を買う人が増え、株価が上がります。

●業績予想の修正
企業が業績の予想を発表することもよくありますが、予想が大幅に修正されると、株価もそれに反応します。以前より良い予想が出れば株価は上がりますし、悪い予想が出れば株価は下がります。

●株式分割の発表
先に学習したように、株式が分割されることがあります。理論的には、株数が増える分だけ株価は下がりますので、株全体の価値(=株数×株価)は変化しません。ところが実際には、株式分割が発表されると株価が上がることがよくあります。

株式分割が実際に行われると、分割の比率に応じて株価が下がりますが、それによってその株を少額で買うことができるようになり、投資家が増えることが予想されます。投資家が増えることは、株の需要が増えることと同じです。したがって、株式分割が発表された時点で、その株の株価が上がりやすくなるわけです。

特に、成長中の企業は株式分割をよく行う傾向があり、それによって株価がどんどん上がります。例えば、ホームページの検索で有名な「ヤフー」は、1997年11月に上場して以来、2005年3月の時点までに1:2の株式分割を10回も行っていて、上場時の1株が現在では1024株に増えています。株式分割を考慮すると、2005年3月時点の株価は上場時の250倍強にもなっています。

●増資
企業が資金を調達するために、株を新たに発行することがあります。これを「増資」と呼びます。増資が行われると株数が増えますが、会社の業績は急には変化しないので、1株あたりの利益は減ります。つまり、増資が発表されると株価は下がる傾向があります。

●仕手(して)
ある会社の株をひそかに買い集めた後、「この会社の株は上がる」というような情報を流して株価を吊り上げ、その後に買い集めた株を売り抜けようとする入(あるいは集団)がいます。このような(集団)を「仕手」と呼びます。ある株に仕手が介入すると、その株の株価は乱高下します。場合によっては、短期間で数倍に値上がりすることもあります。しかし、買いの勢いが続かずに、1日2日で値上がりが終わってしまい、その後に急落することもあります。

後になって株価の動きだけを見てみると、仕手株を買えば簡単に儲けられそうに見えます。しかし、実際にはいつ仕手化か起こるか分かりませんし、仕手化している最中には株価がどのように動くか予想がつかないので、仕手株に手を出すのは危険がともないます。

●企業の合併や買収
ここ数年、企業の合併や買収(M&Aとも呼ばれます)が行われることが多くなりました。特に、相手企業の経営陣の同意を得ずに、その企業の株を買い占めて買収する「敵対的買収」が増えています。

買収が発表されると、さまざまな思惑が広がって株価が乱高下しやすくなります。例えば、ライブドア対ニッポン放送・フジテレビの攻防では、ライブドアがニッポン放送の株を買い集めて議決権の35%を確保したことを発表してからは、ライブドアとフジテレビの間で株の争奪戦が起こり、さまざまな思惑によって、ニッポン放送の株価が揺れ動きました。

また、敵対的買収の際には、「○○円で株を買い取るので、皆さん売ってください」というように広告して、多くの投資家から株を買い占めることが一般的です。これを「TOB」(takeoverbidの略)と呼びます。 TOBでは、そのときの市場価格より高い値段が提示されるのが普通なので、株価が急激に上昇しやすくなります。それで、TOBの価格を超えてさらに株価が上がることもあります。





景気と株価の関係

7月 11
2010



株価に影響を及ぼすものとしては、個々の会社に関わることだけではなく、国の経済全体の状況を表す「景気」も非常に重要です。ここでは、株価と景気の関係を学習します。

●株価は景気に先行する
一般的に、景気が良くなってくれば、個々の企業の業績も良くなってきます。それにともなって、個々の企業の株価も上がっていくことになります。ただし、「景気が良くなってから株価が上がる」のではありません。「景気が良くなる前に、株価は上がり始める」という性質があります。また、「景気が悪くなりだす前に、株価は下がり始める」という性質もあります。このように、株価は景気に先行して動く傾向があります。

多くの投資家は、「将来にその企業の株価が上がる(下がる)かどうか」ということを考えて、株を売買しています。そのため、「これから景気が良くなって、株価が上がりそうだ」と判断する人が増えると、今の景気があまりよくなくても、株価は先に上がり始めることになります。

また、「今は景気が良いが、そう遠くないうちに景気が悪くなりはじめそうだ」と考える人が増えると、株が売られ始めます。つまり、今の景気が良くても、株価が先に下がり始めることになります。

●景気が良くなる前に株を買う
上で述べたようなことから、「景気が良くなった」と実感できる頃には、株価は大きく上がっていることが一般的です。また、そのようなときには、新聞やニュース等で「株価が上がっている」という情報が頻繁に流れるので、「今買えば儲かる」とついつい思いがちです。

しかし、市場が非常に盛り上がっているときは、そこで株価が一番高くなるピークになりやすいものです。景気が絶好調の時になってから、それ以上は値上がりしない株を買っていては、儲けることは難しくなります。かといって、景気がどん底に悪いときには、株価も値下がり傾向にあるので、なかなか買う気にはなれないことでしょう。実際、そのようなときに買うと、さらに株価が値下がりするリスクがあります。

景気が悪いときも、新聞やニュースなどをよくチェックして、今後の景気がどのよ引こ推移しそうかということを確かめることが重要です。もし、今後は景気が上がりそうだということであれば、株を買う準備を始めます。また、株式市場の動きもよくチェックして、株価が上がりそうな気配があるかどうかを見るようにします。そして、景気がまだ回復していなくても、株価が上がりだしたら、株を買って様子を見るようにすると良いでしょう。

逆に、景気が非常に良くなって、株価も十分に上がったら、欲張らずに持ち株を売るようにすることも必要です。それ以上株を持ち続けると、景気が下がりだす前に株価が下がってしまう恐れがあります。

●景気を表す指標をチェックする
景気を表す指標はいくつかありますが、その中で特に重視されるものとして、GDP(ジーディーピー)、日銀短観(にちぎんたんかん)、景気動向指数等があります。新聞の経済面を読む際には、少なくともこれらの指標はチェックしておきたいものです。

①GDP
GDPは「GrossDomestic Product : グロス・ドメスティック・プロダクト」の略で、日本語では「国内総生産」と呼びます。 GDPは日本の国内で生産された付加価値の総額を表すものです。

具体的には、国内で生産されたテレビなどの工業製品、米などの農産物などの目に見えるモノと、インターネット接続などの目に見えないサービスの合計額を指します。

GDPは3か月おきに発表されます。ここ数年の日本は景気があま
り良くないのですが、GDPの仲びも低くなっている傾向があります。

②日銀短観
日銀短観は、日本銀行が3か月おきに行っているもので、「短期経済観測調査」の略です。企業にアンケートを送付して、「景気が良いか悪いか」などの項目に答えてもらい、その結果をまとめたものです。数値は、「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた値を表しています。

日銀短観を見る際には、現在の数字の良し悪しだけでなく、今後の見通しの良し悪しも重要です。今の数字が良くても、今後の数字が悪化すると予想されている場合は、株価も下がることが予想されます。逆に、今の数字が悪くても、今後に改善するようであれば、株価上昇が期待できます。

③景気動向指数
最後の景気動向指数は、景気に関するさまざまな指標を合成して、日本全体の景気を表すための指標です。内開府が毎月発表しています。景気動向指数には、「一致指数」(いっちしすう)、「先行指数」(せんこうしすう)、「遅行指数」(ちこうしすう)の3つがあります。

一致指数は、現在の景気の状況を表す値です。先行指数は、一致指数から数ケ月程度先行して動き、景気の先行きを占う際に使います。そして、遅行指数は一致指数から半年~1年程度遅れて動き、景気の動向を確認するのに使われます。

一致指数が3ケ月連続して50%を上回る(または下回る)かどうかが、景気判定の分かれ道になります。ただし、単純に判定されるわけではなく、多くの資料から複合的に判断されています。





金利と株価の関係

7月 11
2010



銀行などを利用して、お金を預けたり借りたりする際には金利が付きます。金利とは元金に対する利子の割合のことです。銀行にお金を預けても金利が低いと利子はあまり付きません。逆に、お金を借りるときは金利が低い方が有利です。この金利の動きも、株価に影響を与えます。

●景気と金利の関係
金利は景気状況によって上下します。基本的には、景気が良くなると金利は引き上げられます。一方、景気が悪くなると金利が引き下げられます。景気が良くなると物やサービスの需要が多くなり、お金の必要性も高まります。そのため、「少々金利が高くてもお金を借りたい」という人が増え、金利が上がりやすくなります。

また、景気が良くなって物がよく売れるようになり、物の供給より需要が多くなると物価が上がりやすくなります。そこで、景気の過熱を抑えるために日本銀行が金利を引き上げます。

このようにして金利が上がっていくと、お金を借りにくくなっていき、景気が徐々に落ち着いていきます。そして、やがては景気が悪化する局面に入っていきます。景気が悪化すると物やサービスの需要が減るので、お金もそれほど必要なくなってきます。そのため、お金の借り手が少なくなり、貸し手にとって不利な状況になるため、金利が徐々に下がっていきます。また、景気を刺激させるために日本銀行も金利を引き下げていきます。

金利の引き下げが進んでくると、徐々にお金の借り手が増えたして景気の悪化に歯止めがかかり、やがては景気が回復し始めます。そして、また金利が上がりだすという繰り返しになります。

●金利上昇は株安/金利低下は株高につながる
すでに学んだように、株価は景気が良くなり出す前に上がり始め、景気がピークを迎える前に下がりだします。つまり、株価の山と谷は、景気の山と谷より先に来ます。

これに対して、金利は景気が良くなると上がり始め、景気がピークを過ぎた後に下がりだします。つまり、金利の山と谷は、景気の山と谷より後に来ることになります。景気が良くなってきて金利が上昇し始めると、最初のうちは金利と株価がともに上がっていくことになります。しかし、景気が過熱して金利がどんどん引き上げられるようになると、株価に悪影響が出て、株価が先に下がりだします。

逆に、景気のピークを過ぎてしばらくの間は、金利と株価がともに下がっていきます。しかし、金利が十分に下がってくると、景気回復が期待されて、株価が上がり始めます。このような状況は、「不景気の株高」とも言われます。また、金利が低いとお金を借りやすくなり、「金余り」の状態になります。

一方、金利が低いと預貯金ではお金は増えません。そのため、株にお金が回りやすい状態にもなります。これも、低金利になると株価が上がりやすくなる原因です。このように、景気に過無慾が出て金利が上がってきたら、景気のピークが近く、また株価も上がりにくくなるので、それ以上株を買うのは避けるべきです。日本では、金利は上がりだすと急激に上がる傾向があるので、そのような傾向が見えたら要注意です。

一方、不景気が続いて金利が大きく下がってきたら、景気回復が始まるのが近く、株価が上がる可能性が出てくるので、景気の動きに注目して株を買うタイミングを探るようにします。





海外の株価と日本の株価との関係

7月 11
2010



日本の景気は、日本国内の状況だけで決まるわけではありません。外国の景気の良し悪しや、外国と日本との為替の関係によっても、日本の会社の株価が動きます。

●外国の景気と日本の関係
外国の景気が良くなってくると、日本からの輸出も増えるので日本の景気にとってプラスになります。特に、利益の中で輸出の割合が高い会社ほど外国の景気の影響を受けることになります。例えば、自動車業界は輸出の割合が高いので外国の景気の影響を受けやすいのが普通です。

最近では、中国の影響が大きくなっています。ここ数年で中国は大きく成長しましたが、それに伴って日本からの輸出も増えています。特に、鉄鋼や化学製品などの素材産業が大きな恩恵を受けています。経済のグローバル化が進む中で、外国の景気が日本に与える影響は非常に重要になっています。世界の経済の状況にも目を向けることが必要です。

●為替と株価の関係
日本の円と外国の通貨(ドルなど)の交換比率(為替レート)によっても、株価は影響を受けます。 「円高」「円安」という言葉を聴いたことがあるかと思います。円安とは、外国の通貨に対して、日本の円が安くなることを意味します。逆に言えば、日本の円に対して、外国の通貨が高くなったことを意味します。

例えば、1ドル=100円の状況から、1ドル=120円の状況になったとしましょう。この場合、100円で1ドルが手に入っていたのが、120円出さないと1ドルを手に入れられなくなったことになります。同じ1ドルを手に入れるのに、より高い円を支払う必要が出たわけで、ドルが値上がりしたことになります。これが「ドル高」です。

ドルが高くなったということは、相対的に円が安くなったことを意味します。したがって、1ドルが100円から120円になるような状況は、「円安」にあたります。円安になると、輸出の多い企業にとっては有利になります。例えば、同じ1万ドルの商品を輸出したとして、1ドル=100円なら100万円が手に入りますが、1ドル=120円なら120万円が手に入り、より多くの儲けが出ることになります。

逆に、輸入の多い企業にとっては、円安は不利になります。同じものを輸入するのにより多くのお金を支払う必要が出るので、不利になるわけです。

これに対して、円高になったときの影響は、円安の遂になります。輸出の多い企業にとっては不利となり、輸入の多い企業にとっては有利になります。

日本の主力企業には、輸出で稼いでいるところが数多くあります。そのため、円高が進むとそれらの企業の株価に悪影響が出て、その結果として市場全体が下がる傾向があります。為替の動きにも注意を向けることが必要だと言えます。

●外国の状況にも気をつける
外国で何か大きな事件が起きると、世界全体にその悪影響が出て、株価にも悪影響が及ぶことがあります。特に、アメリカなどの大国で悪い事件が起こると、その影響は非常に大きくなります。戦争、政変、災害などには十分に注意するようにしましょう。

例えば、2001年9月にアメリカで同時多発テロが起こったときには、翌日の日本の株式市場でも日経平均株価が前日比で約7%急落するなど、かなりの混乱がありました。ただし、戦争が始まったりした場合、混乱を嫌って株価が下がる場合もありますが、逆に戦時需要が発生して、業種によっては景気が良くなる場合もあります。

特に、アメリカが絡む戦争だと、アメリカの株式市場に影響が出て、それが日本市場にも波及します。アメリカの市場は、例えば戦争が長引くと予想されると株価は全般に低迷しますが、短期間で終わりそうになると上昇するといった動きを見せるので、常に変化を観察して素早く反応するようにしたいものです。

例として、イラク戦争を見てみましょう。 2003年3月20日に開戦しましたが、それまでは開戦で景気が冷え込むことを懸念して、日本やアメリカの株価は低迷気味でした。しかし、大規模な戦闘が比較的短期間で終結したことから、その後は株価は回復傾向になりました。さらに、その後の世界景気の回復と相まって、日米とも株価が大きく上昇しました。

また、最近では中国経済が成長していることなどが影響して、原油の需要が増大し、原油価格が高騰しています。そうなると、ガソリンなどの石油製品の値段も上がり、それが景気に悪影響を及ぼすので、株価にも影響することが考えられます。





日経平均やTOPIXと個別銘柄の関係

7月 11
2010



個々の企業の株価は、株式市場全体の株価の動きからも影響を受けます。企業によって、また時期によって差はありますが、個別銘柄の株価の動きは、株式市場全体の株価の動きとある程度似たものになる傾向があります。

●株式市場全体の動きを表す指数
株式市場全体の動きを表す指数としては「日経平均株価」と「TOPIX」(トピックス)があり、どちらもよく使われています。日経平均株価は、東証一部上場企業の中から日本を代表する225社を選んで、それらの株価を平均したものです。

ただし、単純に平均しているのではなく、原則としてそれぞれの株の額面を50円に換算(5万円の額面を50円に換算すると千分の1になるので株価も千分の1にする)しています。また、銘柄入れ替えも業種をグループに分けて、グループ間で銘柄数が一定になるようにして調整します。日経平均株価は、その名前の通り日本経済新聞社が発表しています。

一方のTOPIXは「東証株価指数」とも呼び、東証一部上場企業の時価総額(=株価×発行済み株式数)の合計を表す指標です。 1968年(昭和43年)1月4日の時価総額合計を基準値(=100)として、その時に比べて時価総額合計がどの程度大きくなっているかを表します。

日経平均株価とTOPIXは、計算方法こそ異なりますが、動き方はよく似ています。ここ数年は、日経平均株価はTOPIXの10倍前後で動く傾向があります。

●個別銘柄の株価は市場全体と似たような勣きになりやすい
グラフは、日経平均株価とトヨタ自動車の株価の動きを表したものです。まったく同じ動きということはありませんが、基本的には日経平均株価が上がるときにはトヨタ自動車も上がり、日経平均株価が下がるときにはトヨタ自動車も下がっていることが分かります。

市場全体が悪化しているときでも、中には株価が上昇する銘柄もあります。しかし、基本的には市場全体が良くならないと、個々の銘柄の株価も上がりにくくなります。市場全体の動きが悪いときには、株式投資はせずに静観しておく方が無難だといえます。

なお、「空売り」といって株価の値下がりで儲ける方法もあります。市場が悪いときには、空売りを使うことも考えられます。





ネットで情報を集めて素早く行動

7月 11
2010



株価を動かす材料は多数あります。それらの情報を総合的に判断して、売り買いをどうするかを決めていく必要があります。

基本的には、材料は売りの判断に使うことをお勧めします。手持ちの株について何か良い材料が出たら、株価の動きを見極めて、ある程度の利益が出たら売って利益を確定するようにします。また、悪い材料が出ると株価がしばらく下落することが多いので、即座に売っておいて、損失が広がらないようにします。

一方、材料が出たことで買いを入れる人が多いのですが、これは成功することもあれば失敗することもあります。材料によって株価の上昇が始まり、それがしばらく続くこともあります。しかし、短期間で急騰してすぐに急落、ということもよくあります。

ただし、株価がしばらく下がった後で、悪い材料が出ても株価があまり下がらない場合は、そろそろ底値が来ていることが考えられます。そのときは、買うことを検討してみると良いでしょう。

インターネットを使えば、さまざまな情報をすばやくキャッチすることができます。投資関係の情報サイトを利用して、最新の情報に目を向けるようにしましょう。主な情報サイトとしては、以下のようなところがあります。

・Yahoo!ファイナンス(http://quote.yahoo.co.jp)
ヤフーの金融総合情報サイトです。各企業の株価、業績、最新ニュースなどを検索することができ、非常に便利です。

・NIKKEI NET (http://www.nikkei.co.jp)
経済関係の情報源といえば日本経済新聞が一般的ですが、そのインターネット版である「NIKKEI NET」もぜひ見ておきたいところです。個別企業の最新ニュースや、株式市場の動向、世界経済全体の流れなど、多くの情報が手に入ります。