パート勤めの方が株を取引する場合の注意点

7月 08
2010



「パート勤めと並行して株もやってみよう」「パートを辞めて株で儲けよう」と思っている方もおられるかもしれません。この場合は税全面に注意する必要があります。

●株は儲けが出ると税金がかかる
まず、パート勤めと株との違いとして、「パート勤めなら年収103万円までは税金がかからないが、株は儲けがあれば一律に課税される」という点があります。給与収入に対する税金は、「基礎控除」と「給与所得控除」という額を引いた残りにかかります。基礎控除は一律38万円で、給与所得控除は給与収入が162.5万円以下なら一律に65万円です。

そのため、給与収入が103万円以下なら、基礎控除の38万円と給与所得控除の65万円によって課税対象がOになるので、所得税がかからないのです。給与収入がそれほど多くなければ、これらの控除があるために、同じ額を儲けても株よりパートの方が税金が少なくて済みます。

●「源泉徴収ありの特定口座」を利用する
証券会社の口座には「一般口座」と「特定口座」の2種類があり、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。既婚の女性が株取引をされる場合は、「源泉徴収あり」の特定口座にしておくことをお勧めします。というのも、それ以外の口座にした場合は、株で儲けが出ると、そのことが証券会社から税務署に通知され、問題が起きることがあるためです。

既婚の男性の所得税を計算する際には、通常は「配偶者控除」という控除を受けることができ、税金が幾分安くなります。しかし、「源泉徴収あり」の特定口座にしていない場合で、なおかつ配偶者が株で年に38万円を超える儲けを出した場合、そのことが税務署に通知されると、以下のような問題が起こります。

①ご主人が配偶者控除の対象から外れてしまい、ご主人の所得税が上がる
②配偶者控除がなくなると、ご主人の会社から扶養家族手当が出なくなったりすることもある

これに対して、「源泉徴収あり」の特定口座なら、株でいくら儲けても、そのことが証券会社から税務署に通知されることはなく、ご主人が配偶者控除から外れることはありません。しかも、税金は源泉徴収され、基本的に確定申告は不要なので便利です。

●複数の証券会社を使う場合の注意
これも先ほど学習したように、複数の証券会社に源泉徴収ありの特定口座を作って、儲かった証券会社と損した証券会社がある場合は、確定申告すると損した分に対応する税金が還付されます。

しかし、それによって株の儲けが税務署に知られると、上であげたような問題が起こることがあります。株の儲けが合計で38万円を超えていて、なおかつ損をした証券会社がある場合、確定申告して税金を還付してもらうよりは、確定申告せずに配偶者控除等に影響が出ないようにした方が、トータルでは得になることもあります。この点には注意が必要です。




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