海外の株価と日本の株価との関係

7月 11
2010



日本の景気は、日本国内の状況だけで決まるわけではありません。外国の景気の良し悪しや、外国と日本との為替の関係によっても、日本の会社の株価が動きます。

●外国の景気と日本の関係
外国の景気が良くなってくると、日本からの輸出も増えるので日本の景気にとってプラスになります。特に、利益の中で輸出の割合が高い会社ほど外国の景気の影響を受けることになります。例えば、自動車業界は輸出の割合が高いので外国の景気の影響を受けやすいのが普通です。

最近では、中国の影響が大きくなっています。ここ数年で中国は大きく成長しましたが、それに伴って日本からの輸出も増えています。特に、鉄鋼や化学製品などの素材産業が大きな恩恵を受けています。経済のグローバル化が進む中で、外国の景気が日本に与える影響は非常に重要になっています。世界の経済の状況にも目を向けることが必要です。

●為替と株価の関係
日本の円と外国の通貨(ドルなど)の交換比率(為替レート)によっても、株価は影響を受けます。 「円高」「円安」という言葉を聴いたことがあるかと思います。円安とは、外国の通貨に対して、日本の円が安くなることを意味します。逆に言えば、日本の円に対して、外国の通貨が高くなったことを意味します。

例えば、1ドル=100円の状況から、1ドル=120円の状況になったとしましょう。この場合、100円で1ドルが手に入っていたのが、120円出さないと1ドルを手に入れられなくなったことになります。同じ1ドルを手に入れるのに、より高い円を支払う必要が出たわけで、ドルが値上がりしたことになります。これが「ドル高」です。

ドルが高くなったということは、相対的に円が安くなったことを意味します。したがって、1ドルが100円から120円になるような状況は、「円安」にあたります。円安になると、輸出の多い企業にとっては有利になります。例えば、同じ1万ドルの商品を輸出したとして、1ドル=100円なら100万円が手に入りますが、1ドル=120円なら120万円が手に入り、より多くの儲けが出ることになります。

逆に、輸入の多い企業にとっては、円安は不利になります。同じものを輸入するのにより多くのお金を支払う必要が出るので、不利になるわけです。

これに対して、円高になったときの影響は、円安の遂になります。輸出の多い企業にとっては不利となり、輸入の多い企業にとっては有利になります。

日本の主力企業には、輸出で稼いでいるところが数多くあります。そのため、円高が進むとそれらの企業の株価に悪影響が出て、その結果として市場全体が下がる傾向があります。為替の動きにも注意を向けることが必要だと言えます。

●外国の状況にも気をつける
外国で何か大きな事件が起きると、世界全体にその悪影響が出て、株価にも悪影響が及ぶことがあります。特に、アメリカなどの大国で悪い事件が起こると、その影響は非常に大きくなります。戦争、政変、災害などには十分に注意するようにしましょう。

例えば、2001年9月にアメリカで同時多発テロが起こったときには、翌日の日本の株式市場でも日経平均株価が前日比で約7%急落するなど、かなりの混乱がありました。ただし、戦争が始まったりした場合、混乱を嫌って株価が下がる場合もありますが、逆に戦時需要が発生して、業種によっては景気が良くなる場合もあります。

特に、アメリカが絡む戦争だと、アメリカの株式市場に影響が出て、それが日本市場にも波及します。アメリカの市場は、例えば戦争が長引くと予想されると株価は全般に低迷しますが、短期間で終わりそうになると上昇するといった動きを見せるので、常に変化を観察して素早く反応するようにしたいものです。

例として、イラク戦争を見てみましょう。 2003年3月20日に開戦しましたが、それまでは開戦で景気が冷え込むことを懸念して、日本やアメリカの株価は低迷気味でした。しかし、大規模な戦闘が比較的短期間で終結したことから、その後は株価は回復傾向になりました。さらに、その後の世界景気の回復と相まって、日米とも株価が大きく上昇しました。

また、最近では中国経済が成長していることなどが影響して、原油の需要が増大し、原油価格が高騰しています。そうなると、ガソリンなどの石油製品の値段も上がり、それが景気に悪影響を及ぼすので、株価にも影響することが考えられます。




Comments are closed.