会社の利益から配当をもらうことが出来る

7月 06
2010



株には、売買した差額で儲けを出す以外に、株を保持することによって得られるメリットもあります。 その1つとして「会社があげた利益を、配当として分配してもらうこと」が挙げられます。配当の額は会社によって異なります。基本的には、業績の良い会社であれば、配当も高額になる傾向があります。

●配当利回りとその計算
株の世界では「利回り」という言葉がよく使われます。利回りとは、投資した元本(がんぽん)の金額に対して、その投資で得られた利息等の金額の割合を表します。 株に投資して配当をもらう場合、株価に対する1株あたりの配当の割合のことを「配当利回り」と呼びます。

配当利回り=1株あたりの配当÷株価×100(%)

例えば、株価が1,000円で1株あたりの配当が10円の銘柄の場合だと、配当利回りは10円÷1,000円×100=1%になります。

●配当利回りの高い銘柄が結構ある
かつてのバブルの頃に比べると、大半の会社の株価は大幅に安くなっています。この反面、配当はそれほど下がっていません。そのため、相対的に配当利回りが高くなっています。 ここ数年は低金利なので、銀行に預貯金をしていても利息はほとんどOです。これに対して、株の配当利回りは東証一部企業の平均で1%台です。銘柄によっては、配当利回りが2~3%程度あるところもあります。

株は元本保証はないので、配当が良くても株価がそれ以上に下がってしまうと損失になります。ただし、配当が良い銘柄は、配当を目当てにして買う人が多く、株価が比較的安定するという傾向があります。このため、配当を増やして株価を上げることで企業を買収から守るという方法もあります。フジテレビがライブドアに買収されるのを防ごうとして、配当を大幅に引き上げ、これによりフジテレビの株価は大きく値上がりしました。

配当利回りが良くて、なおかつ株価が比較的安定している銘柄を買って、しばらく保有し続けるというのも1つの投資法になります。ペイオフの解禁で、金融機関が破綻したときは、1000万円以上の預金については元本保証の対象外となりました(決済性預金を除O。銀行や信用金庫でも完全に信用できなくなった今、株の保有は財産保持の手段としても、より重要となったと言えるでしょう。

●配当はいつどんな形で受け取る?
配当の額は、株主総会で決議されます。したがって、配当が手に入るのは、株主総会が終わった後になります。 株主総会は、決算から2~3か月後に行われます。日本では3月決算の会社が多く、6月の中旬から下旬の頃に、株主総会が集中的に行われています。したがって、たいていの会社では、配当をもらえるのは6月下旬ぐらいになります。

また、会社によっては、中間決算後にも配当を出すところもありますにれを「中間配当」と呼びます)。その場合は、中間決算から2か月ぐらいで中間配当が送られてきます。例えば、3月決算の会社の場合、9月末に中間決算が行われ、11月ごろに中間配当が送られます。

配当は証書の形で郵送されてきます。通常は、その証書を郵便局に持って行って現金に換えます。また、配当を銀行振り込みにしてもらうこともできます。 なお、一部の証券会社では、配当を証券会社の口座に自動的に入金するサービスを行っています。





株主優待を受けることが出来る

7月 06
2010



会社によっては、「株主優待」を行っているところもあります。名前の通り、株主に対して、その会社の製品やサービスを提供してくれるというものです。例えば、鉄道会社であれば無料乗車券、小売業であれば商品券、飲食業であれば食事券といったものをもらうことができます。すべての会社が株主優待を行っているわけではありませんが、最近では株主を重視する企業が増えているため、株主優待を行う企業も多くなっています。

●かなりお得な会社もある
株主優待の中には、かなりお得なものもあります。現金に換算すると、利回りが5%を超えるような会社もいくつかあります。 これらの会社のお店を頻繁に使っているなら、その株を買って株主優待をもらえば、かなり得をすることができます。

●転売して現金化する方法もある
株主優待をもらっても、自分では使わないという方もいることでしょう。この場合は、その株主優待を転売して現金化する、という方法もあります。特に、インターネットのオークションを利用して株主優待を転売するという手法は、多くの人が活用しています。例えば、Yahoo!オークションで「チケット・金券」のコーナーを見ると、株主優待の商品券等がかなり出品されています。

ネットオークション以外にも、金券ショップに持ち込んで現金化するという方法もあります。ただし、金券ショップよりはネットオークションの方が高く売ることができます。

●株主優待はいつもらえる?
多くの株主優待は、配当と一緒に送られてきます。ただし、株主優待の内容によっては、別便になることもあります。例えば「自社製品の詰め合わせ」というような株主優待だと、配当と同時には送ることができないので、別便になります。





株式分割で株数が増えることがある

7月 06
2010



伸び盛りの会社の場合、「株式分割」が行われることもあります。
そのような会社だと、株価がどんどん上昇して高くなりすぎ、一般の投資家には買いにくくなることがあります。そこで、1株を1.5株や2株などに分割して株数を増やし、その割合に応じて株価を下げることで、株を買いやすくすることが行われています。
 
例えば、1株が10,000円の会社が1株を2株に分割するとしましょう。この場合、株数は2倍になりますが、1株あたりの価値は分割前の2分の1になるので、株価はおよそ5,000円に下がります。株数が増えますが、その分株価が下がるので、株式分割の前後でトータルの価値は変わりません。ただし、株式分割が行われると、前述したようにその株は株価が下がって買いやすくなり、新たな投資家が増えることが期待されます。そのため、株式分割することが発表されると、それによって株価が上がることも多くなっています。
 
また、株式分割が行われる際には、本来なら分割の比率に応じて1株あたりの配当を減らして、トータルの配当額が変わらないようにすることが一般的です。例えば、1株を2株に分割する場合だと、1株あたりの配当を2分の1に下げるのが普通です。 ただし、会社によっては株式分割しても配当をあまり下げないで、実質的に配当を増やすのと同じことにする場合もあります。

●配当や株主優待を狙う際に注意すべきこと

配当や株主優待はうれしいものですが、それを狙って株を保有する場合、メリットばかりではないことも考慮する必要があります。

まず、配当や株主優待は必ず出るとは限りません。会社の業績が悪化すると、配当や株主優待が減ったり出なくなったりすることもあります。配当が減ることを「減配」、出なくなることを「無配」と呼びます。 また、会社が資金調達のために株を新たに発行することがあり、それを「増資」と呼びます。

増資が行われて株数が増えると、1株あたりの利益が薄まって配当を出しにくくなるので、減配される恐れがあります。ちなみに、ニッポン放送はライブドアによる買収を阻止するために増資を行おうとしましたが、これは正当な目的(資金調達など)からは外れると裁判所が判断して、ライブドアの差し止め要求を認めたので、失敗に終わりました。

さらに、株主優待が良すぎて株主優待狙いの株主が増えると、株主優待を使う人が増えすぎて会社の利益を圧迫します。その結果、株主優待が減らされたり使いにくくされることもあります。そうなると、株主優待狙いで株を買っていた人が失望して株を売ってしまい、株価が大幅に下がることもあります。

例えば、居酒屋チェーンの「和民」(ワタミ株式会社)は、以前は多くの人が株主優待狙いで買っていました。しかし、株主優待狙いの株主が増えて優待を使う人が増えすぎ、「金曜土曜は株主優待券は利用不可」などの利用制限が設けられてしまいました。その結果、株が売られて株価が大幅に下がってしまいました。





いつ株を買えば配当などがもらえるか

7月 06
2010



配当/株主優待/株式分割とも、当然ながら株主になっていないともらうことができません。では、いつの時点で株主になっていれば良いのでしょうか? これも学んでおきましょう。

●権利確定日と権利付き最終日
配当等の権利が確定する日のことを「権利確定日」と呼びます。決算日が権利確定日になります。その日の時点で株主であれば、配当等をもらうことができます。例えば、3月決算の会社なら権利確定日は3月31日です。

ただし、権利確定日の時点で株を買っていたのでは、残念ながら間に合いません。前に学んだように、買い注文を出してから実際に株が自分のものになるまでには、注文当日を含めて4営業日かかります。また、権利確定日当日には株の受け渡しは行われないので、権利確定日の前日に株主になっていることが必要です。

つまり、権利確定日の5営業日前までに株を買っておけば、配当等の権利を得ることができます。その日のことを、「権利付き最終日」と呼びます。例えば、3月31日が木曜日だとすると、その5営業日前は3月25日になります。したがって、3月25日が権利付き最終日になります。その日に株を買えば、配当等の権利を得ることができます。

●権利をもらった直後に売る?
ここまでの話を読んで、「じやあ、権利が手に入ったら、次の日に株を売っても良いの?」と思われる方もいることでしょう。権利付き最終日に株を買って、その翌日に売ったとしても、権利は手に入ります。たった1日株を持っているだけで、配当や株主優待が手に入ることになります。一見すると、これは得なように思えるかもしれません。

しかし、残念ながら得にはなりません。配当等をもらえなくなった株は、その分だけ魅力(価値)が下がります。そのため、配当等をもらえる時と同じ値段で買いたいという人は、普通はいなくなります。「配当等をもらえないなら、その分だけ安く買いたい」というのが一般的な考え方です。

したがって、権利付き最終日の翌日には、その株を買う側は配当等の権利分を引いた額で買い注文を出してきます。その結果、権利分とほぼ同じ額だけ株価が下がります。これを「権利落ち」と呼びます。

例えば、ある銘柄の株価が、権利付き最終日に1,000円だったとしましょう。また、その銘柄の配当が1株あたり10円だとしましょう。この場合、権利付き最終日の翌日には、株価は自然にほぼ10円下がって990円前後になります。 このように、権利付き最終日に株を買って翌日に売ると、配当や株主優待の儲けと権利落ちで株価が下がる分の損がほぼ相殺されてしまいます。また、売買には手数料がかかるので、実質的には手数料分だけ損をすることになります。