景気と株価の関係

7月 11
2010



株価に影響を及ぼすものとしては、個々の会社に関わることだけではなく、国の経済全体の状況を表す「景気」も非常に重要です。ここでは、株価と景気の関係を学習します。

●株価は景気に先行する
一般的に、景気が良くなってくれば、個々の企業の業績も良くなってきます。それにともなって、個々の企業の株価も上がっていくことになります。ただし、「景気が良くなってから株価が上がる」のではありません。「景気が良くなる前に、株価は上がり始める」という性質があります。また、「景気が悪くなりだす前に、株価は下がり始める」という性質もあります。このように、株価は景気に先行して動く傾向があります。

多くの投資家は、「将来にその企業の株価が上がる(下がる)かどうか」ということを考えて、株を売買しています。そのため、「これから景気が良くなって、株価が上がりそうだ」と判断する人が増えると、今の景気があまりよくなくても、株価は先に上がり始めることになります。

また、「今は景気が良いが、そう遠くないうちに景気が悪くなりはじめそうだ」と考える人が増えると、株が売られ始めます。つまり、今の景気が良くても、株価が先に下がり始めることになります。

●景気が良くなる前に株を買う
上で述べたようなことから、「景気が良くなった」と実感できる頃には、株価は大きく上がっていることが一般的です。また、そのようなときには、新聞やニュース等で「株価が上がっている」という情報が頻繁に流れるので、「今買えば儲かる」とついつい思いがちです。

しかし、市場が非常に盛り上がっているときは、そこで株価が一番高くなるピークになりやすいものです。景気が絶好調の時になってから、それ以上は値上がりしない株を買っていては、儲けることは難しくなります。かといって、景気がどん底に悪いときには、株価も値下がり傾向にあるので、なかなか買う気にはなれないことでしょう。実際、そのようなときに買うと、さらに株価が値下がりするリスクがあります。

景気が悪いときも、新聞やニュースなどをよくチェックして、今後の景気がどのよ引こ推移しそうかということを確かめることが重要です。もし、今後は景気が上がりそうだということであれば、株を買う準備を始めます。また、株式市場の動きもよくチェックして、株価が上がりそうな気配があるかどうかを見るようにします。そして、景気がまだ回復していなくても、株価が上がりだしたら、株を買って様子を見るようにすると良いでしょう。

逆に、景気が非常に良くなって、株価も十分に上がったら、欲張らずに持ち株を売るようにすることも必要です。それ以上株を持ち続けると、景気が下がりだす前に株価が下がってしまう恐れがあります。

●景気を表す指標をチェックする
景気を表す指標はいくつかありますが、その中で特に重視されるものとして、GDP(ジーディーピー)、日銀短観(にちぎんたんかん)、景気動向指数等があります。新聞の経済面を読む際には、少なくともこれらの指標はチェックしておきたいものです。

①GDP
GDPは「GrossDomestic Product : グロス・ドメスティック・プロダクト」の略で、日本語では「国内総生産」と呼びます。 GDPは日本の国内で生産された付加価値の総額を表すものです。

具体的には、国内で生産されたテレビなどの工業製品、米などの農産物などの目に見えるモノと、インターネット接続などの目に見えないサービスの合計額を指します。

GDPは3か月おきに発表されます。ここ数年の日本は景気があま
り良くないのですが、GDPの仲びも低くなっている傾向があります。

②日銀短観
日銀短観は、日本銀行が3か月おきに行っているもので、「短期経済観測調査」の略です。企業にアンケートを送付して、「景気が良いか悪いか」などの項目に答えてもらい、その結果をまとめたものです。数値は、「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた値を表しています。

日銀短観を見る際には、現在の数字の良し悪しだけでなく、今後の見通しの良し悪しも重要です。今の数字が良くても、今後の数字が悪化すると予想されている場合は、株価も下がることが予想されます。逆に、今の数字が悪くても、今後に改善するようであれば、株価上昇が期待できます。

③景気動向指数
最後の景気動向指数は、景気に関するさまざまな指標を合成して、日本全体の景気を表すための指標です。内開府が毎月発表しています。景気動向指数には、「一致指数」(いっちしすう)、「先行指数」(せんこうしすう)、「遅行指数」(ちこうしすう)の3つがあります。

一致指数は、現在の景気の状況を表す値です。先行指数は、一致指数から数ケ月程度先行して動き、景気の先行きを占う際に使います。そして、遅行指数は一致指数から半年~1年程度遅れて動き、景気の動向を確認するのに使われます。

一致指数が3ケ月連続して50%を上回る(または下回る)かどうかが、景気判定の分かれ道になります。ただし、単純に判定されるわけではなく、多くの資料から複合的に判断されています。




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