株はどこでどのように取引されているか

6月 05
2010



株は売買することができますが、では株はいったいどこで取引されているのでしょうか? また、どんな株なら取引することができるのでしょうか?

物を取引する場所のことを「市場」と呼びますが、株も市場で取引されています。その市場のことを、「株式市場」と呼びます。ここでは、株式市場の仕組みや、取引できる株について、大まかに見ておくことにしましょう。

株を取引する市場がある

例えば、あなたがトヨタ自動車の株を買おうとしたとします。しかし、トヨタ自動車の株主は日本中にたくさんいますが、最初から知り合いならともかく、自分でそういった株主を探して交渉して株を売ってもらうのは、まず不可能です。

このように、一対一の取引で株を売買するのは、知人同士の取引以外は現実問題としてまず不可能です。そこで、多くの投資家からの取引を一箇所にまとめて、条件が折り合えば取引を成立させる、という仕組みがとられています。この「取引を一箇所にまとめる場所」が「株式市場」なのです。

上場している会社の株だけが取引可能

日本には株式会社が無数にありますが、それらすべての株式会社の株を取引できるのかというと、そうではありません。むしろ、誰でも取引できるのは、ごく一部の会社の株に限られています。

株式市場で取引されていて、誰でも売買することができる状態のことを、「上場」(じょうじょう)と呼びます。上場されていない株は、一般の個人投資家は買うことができません。

有名な会社は、大半が上場しています。例えば、日本を代表する会社としてソニーやトヨタ自動車などが有名ですが、ソニーもトヨタ自動車も上場していて、一般の個人投資家が株を買うことができます。

しかし、有名な会社でありながら、上場していない会社もあります。例えば、ウィスキーやビールで有名なサントリーは上場していません。「サントリーの株を買いたい」と思っても、一般の個人投資家は買うことができません。

上場するメリットとデメリット

株を上場すると、いくつかのメリットが得られます。まず、株式市場を通して、幅広い投資家から資金を調逮しやすくなります。また、銀行等への信用度も上がり、資金を借り入れる際にも有利になります。さらに、社会的な認知も高まり、会社のステータスにもなります。

これに対してデメリットもあります。例えば、ニッポン放送の例のように、株を買い占められて会社を乗っ取られるというリスクが生じます。また、決算書類を公開しなければならなくなるなど、事務処理の手続きが増えるというデメリットもあります。
さらに、上場する上で守らなければならない基準がいくつかあり、それを守らない場合は上場を取り消されますにれを「上場廃止」と呼びます)。

最近の上場廃止の例として、西武鉄道の株があります。上場廃止の基準の中に「役員と株主上位10位までで、80%以上の株を保有している場合」というものがあります。
西武鉄道の株は、その親会社のコクドが大半を保有して、上位10位までで80%を超えていました。しかし、多くの個人が保有しているかのように嘘の報告をして、上場廃止を逃れていました。それが発覚して、元会長の堤氏が証券取引法違反で逮捕されるというスキャンダルになりました。

株が上場廃止になると、われわれ個人投資家がその会社の株を持っていた場合は、その株を株式市場で売ることができなくなってしまうという危険性があります。そのことは頭に入れておきましょう。

株式市場の種類

株は株式市場で取引されているわけですが、株式市場は1つだけではありません。日本にはいくつかの市場があります。

もっとも有名な株式市場は、「東京証券取引所」(略して「東証」とも呼びます)です。日本の株式の取引のうち、売買代金で見て90%以上の取引が東京証券取引所に集中しており、圧倒的なシェアを誇っていることになります。この東証は公的な機関ではありません。実は東証
自身も株式会社なのです。株式市場を株式会社が運営しているわけです。

東京証券取引所には、「一部」「二部」「マザーズ」の3つの市場があります。一部は日本を代表する会社が上場している市場で、東証の3つの市場の中で、もっとも取引が盛んです。ソニーやトヨタ自動車など、著名な会社が上場しています。

二部は現在成長中の会社が多く、一部へのステップのような役割を果たしています。また、マザーズは新興企業向けの市場で、創業してからまだ数年しかたっていないような会社が上場しています。

「ジャスダック」(JASDAQ)という市場もあります。これも東京にありますが、東証とは別の会社が運営しています。ジャスダック市場は、東証の「マザーズ」と同様に、新興企業が中心の市場です。マザーズに比べてジャスダックの方が歴史が長く、上場している会社の数も多くなっています。

これらのほかに、大阪/名古屋/福岡/札幌にも証券取引所があります。ただし、これらの証券取引所は、東京証券取引所に比べて取引が非常に少なくなっています。一般の個人投資家がこれらの市場で株を売買することは、普通はあまりありません。




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