短期売買とデイトレードとは

7月 10
2010



かつて株式投資の基本は「長期投資」だと言われていました。経済の成長にともなって個々の企業も成長するので、株を長期保有すれば大きく値上がりする、というのが、その基本的な考え方でした。しかし、経済の安定成長が見込めない現在、この方法は難しくなっています。

現在では、数日~数週間程度の短期間で売買を繰り返す手法を取る人も多くいます。そのような手法を「短期売買」と呼びます。特に、インターネット株取引では手数料が安く、以前に比べると短期売買でも儲けやすくなったために、短期売買をする人が増えています。

また、短期売買の究極的な形として、「デイトレード」(Day Trade)があります。デイトレードは、買った株をその日のうちに売ってしまう手法です。日本語では「日計り(ひばかり)取引」などと呼びます。デイトレードは、市場が開いていない間に何か大事件が起こって株価が大暴落しても、その影響を受けることがないというメリットがあります。





チャート分析を活用する方法

7月 10
2010



短期売買やデイトレードは、短期的な株価の動きを利用して儲ける手法です。となると、ファンダメンタル分析はあまり重要ではなく、チャート分析を活用して株価の動きを読み、それによって機動的に売買を行っていく、という方法を取ります。

短期売買では、主に日足チャートを利用します。移動平均線を使って売買タイミングを判断する場合は、10日や25日といった短めの期間のものを使います。また、デイトレードでは「日中足」(にっちゅうあし)という株価チャートも利用します。日中足は一日の中での分刻みの株価の動きをチャートにしたものです。たいていのネット証券会社では、日中足のチャートを表示する機能があります。そういった機能を使って、売買のタイミングを探っていくことになります。

さらに、中期的な株価の傾向もチェックする必要があります。なぜなら、株価が下落トレンドの状態のときは、普通に株を買って儲けるのは難しくなるからです。株価が上昇トレンドか下落トレンドかをチェックした上で、上昇トレンドのときを中心に売買を行うようにします。





値動きの激しい銘柄を選び自動売買も重要

7月 10
2010



短期売買やデイトレードは短期間のうちに株を買って売って利益を出そうとするものですから、ある程度の値幅が動かないと差額が出ません。いきおい、値動きの激しい銘柄を選ぶことになります。インターネットのスクリーニング機能を使って、値上がり率の上位30社とか、乖離率の上位50社とかを見ながら選ぶとよいでしょう。

短期売買やデイトレードでは、ポイントを押さえて売買し、きっちりと損切りや利益確定をすることが必要です。したがって、自動売買を用いることが特に重要になります。証券会社を選ぶ際に、自動売買ができるところを選ぶ必要があります。

自動売買を使わずに短期売買やデイトレードをすることは、不可能ではありませんが、株価を常に監視しておくことが必要になってしまうので、かなり大変です。特に、仕事を別に持っている人だと、株価を常に監視するのはまずできない話です。





手数料の安さも重要

7月 10
2010



中期売買や長期売買では、売買の頻度はあまり高くなく、またある程度値上がりしてから売るので、手数料によって資金が減るという影響はわずかです。しかし、短期売買やデイトレードでは頻繁に売買を行うことになるので、手数料を無視することができません。

たとえば、楽天証券を使って、1日の約定金額が100万円以内に納まるようにデイトレードを行うものとします。楽天証蔡の「いちにち定額コース」では、約定金額が100万円以内であれば手数料は945円です。ただし、同じ株を1日のうちに買って売る日計り取引の場合は、買いもしくは売りの金額のどちらか片方は約定金額に合まれません。

1日の約定金額が100万円以内ということなので、有料の約定分を100万円に抑える必要があります。 40万円分の株を買い、41万円でその日のうちに売ったとすると、この41万円の手数料は日計り取引なので無料です。次に55万円の株を買って翌日に持ち越したら、40万円十55万円=95万円で100万円以内に収まっているので、今日の手数料は945円です。

なお、この日の利益1万円から手数料945円が差し引かれるので、実際の利益は9,055円になります。もし60万円以上を購入して合計100万円を越えてしまったら、手数料は一気に3,150円になってしまうので、利益は10,000円-3,150円で6,850円に減ってしまいます。

このように、短期売買では手数料の影響は非常に大きなものです。できるだけ手数料の安い証券会社を選び、手数料で資金が目減りすることを防ぐ必要があります。特に、資金が少額であるほど、相対的に手数料が割高になるので、手数料により敏感になる必要があります。





デイトレードで売買するときの注意

7月 10
2010



「デイトレード」という言葉を聞くと、1つの銘柄を一日のうちに何度も売買するようなイメージを持つ方もおられることでしょう。ところが、日本の法律では、同一銘柄を一日で何度も売買すると「差金決済」(さきんけっさい)にあたるものとされ、そのような売買は禁止されています。

差金決済とは、株券を受け渡しせずに、売買代金の差額だけで決済することを指します。同一銘柄を一日の中で売買する場合、「買い→売り」や「売り→買い」はOKですが、「買い→売り→買い」や「売り→買い→売り」は差金決済にあたるとされ、そのような売買を行うことはできません。ただし、ある銘柄Aを買い、その日のうちに売って、その資金で別の銘柄Bを買うことは可能です。





経験を積まないと危険

7月 10
2010



書店に行くと、「デイトレードで毎日を給料日にしよう」というようなたぐいの本をよく見かけます。しかし、デイトレードで毎日ある程度の利益を得ようとするのは、なかなか難しいものです。

仮に1日に1万円の利益を上げようとすると、1000株なら10円の値上がりが必要です。投資額が20万円だとすると、200円の株を1000株買うことになりますが、その株が10円上がることは滅多にありませんし、それを毎日捕まえるというのは至難の技です。ましてや2~3円の値動きで1万円の利益を出すためには、3000~5000株を買わなければなりませんし、そのための資金は60万~100万円が必要です。つまり、毎日100万円以上を動かして、1日に1万円、月に20万円の利益が出るかどうかです。これは率がいいのでしょうか、思った程では無いのでしょうか。

非常に相場勘の良い人が、大量の資金を使ってデイトレードを行えば、毎日とは言わないまでも、短期間でそれなりの儲けを出すことは可能かもしれません。しかし、まだ株を勉強し始めたばかりの方が、少額の資金で短期売買やデイトレードを行ったとしても、儲けることはかなり難しいでしょう。むしろ、手数料がかさんだり思惑がはずれたりして、資金がどんどんすり減ってしまう可能性の方が高いでしょう。
 
短期売買やデイトレードの基礎知識について学びますが、短期売買はチャート分析などについてもより高度な知識や経験を必要とする方法です。本格的に短期売買を行ってみたいという方は、さらに詳しく学んだり、経験を少しずつ積んでから挑戦するほうがよいでしょう。