逆指値の仕組み

6月 13
2010



株で儲けていくためには、適切な損切りが必要ですが、その際に便利なのが「逆指値」という注文方法です。ここでは逆指値で損切りする方法を学習します。

株を売買する際に、値段を指定して注文する方法を「指値」と呼びます。買い注文の場合は株価が指値を下回ったら注文が成立します。また、売り注文の場合は、株価が指値を上回ったら注文が成立します。

しかし、損切りをする場合は、「株価が○○円を下回ったら売り」というような取引を行うことになります。例えば、「株価が300円を下回ったら売り」というような注文です。

通常の指値注文では、このような注文をするのは非常に面倒です。例えば、株価が330円のときに、300円の指値で売り注文を出すと、現在の株価(330円)が指値(300円)を上回っているので、その時点で注文が成立してしまいます。

通常の指値で損切りを行うには、株価が損切りの水準まで下がったかどうかを逐一チェックして、その水準に下がったところで売り注文を出す必要があります。

このようなときに便利なのが、これまでに何度か名前が出てきた「逆指値」(ぎゃくさしね)という注文方法です。逆指値注文では、通常の指値注文とは逆に、「株価が○○円を上回ったら買い」「株価が○○円を下回ったら売り」という内容で注文することができます。

また、株価が指定の水準に達したときには、成り行きで売買するか、もしくは指値で売買するかを選ぶことができます。例えば、「株価が300円を下回ったら成り行きで売る」という注文を出したり、「株価が300円を下回ったら298円の指値で売る」という注文を出したりすることができます。





逆指値を使って損切り注文を出す

6月 13
2010



逆指値注文を使うと、損切り注文を簡単に出すことができます。損切りする株価で、逆指値の売り注文を出しておけば良いわけです。

例えば、ある株を株価が500円のときに買ったとします。そして、買値から1割値下がり(=450円)したら損切りするとします。

この場合は「株価が450円を下回ったら、成り行きで売り」か、「株価が450円を下回ったら、450円未満の指値で売り」という逆指値注文を出しておきます。

すると、株価が450円を上回っている間は、売り注文は成立せず、その株を持ち続ける状態になります。その一方で、株価が450円を下回ると自動的に売り注文が成立して、損切りが行われます。

逆指値注文を出す時期

逆指値の売り注文は、買い注文が成立して、その株が自分のものになった時点で、出しておくことができます。通常は、その時点で逆指値注文を出しておくと良いでしょう。

ただし、逆指値注文はいつまでも有効ではなく、一定の期限が来ると失効します。そのときは逆指値注文を出しなおします。この期限は証券会社によって異なるので、個々の証券会社のサービス内容を確認しておくことが必要です。





逆指値注文で注意すべき点

6月 13
2010



逆指値注文は非常に便利ですが、注意すべき点もあります。

例えば、「株価が500円を下回ったら、498円の指値で売り」という逆指値注文を出したとします。そして、株価が500円以上でしばらく推移し、ある日の終値が510円だったとします。株価は500円を下回っていないので、逆指値注文はそのまま持ち越しになります。

しかし、その日に株式市場が終わってから何か悪いニュースが出て、次の日の寄り付きで株価が480円に下がってしまったとします。その場合は株価が500円を割り込むので、逆指値注文が発効して、498円の指値の売り注文が出されることになります。

ところが、株価は480円まで下がっているので、498円の指値の売り注文は成立しません。

このように、逆指値の注文を出す際に、「○○円で売り」という指値を指定すると、日をまたいで株価が大きく変化したときに、注文が成立しなくなることが起こり得ます。その場合には、逆指値注文をキャンセルして、成り行きですばやく売るようにする必要があります。
 
株価が大きく下がっているので、成り行きで売れば大きく損失が出てしまいますが、それは致し方ありません。そのまま指値注文のままにしていたり、株を持ち続けていたりすると、株価がさらに下がって損失が拡大してしまう恐れがあります。

また、先はどのように株価が急落しそうな状況になったら、市場が開く前に証券会社の口座にログインして、成り行きの売り注文に出しなおしておくことをお勧めします。

逆指値が通らない場合の実例

ここでは『市場が閉じている間に悪材料が出るなどして株価が急落すると、逆指値注文が通らなくなることがある」ということを学びました。その実際の例として、トレンドマイクロをあげておきましょう。

トレンドマイクロは、コンピュータウィルスの駆除ソフトを開発しているメーカーです。ウィルス駆除ソフトでは、最新のウィルスに対応できるように、頻繁にアップデートが行われています。しかし、2005年4月23日(士曜日)に出したアップデートには不具合があり、それをパソコンに組み込むと、パソコンの動作が異常に重くなってしまうというトラプルが発生しました。

4月22日(金曜日)のトレンドマイクロの終値は4,280円でしたが、このトラブルによって、週明けの4月25日(月曜日)の寄り付きでは株価が3,830円まで急落しました(ただし、当日の終値は4000円まで戻しています。)

このトラブルが出る前から、トレンドマイクロの株価は下降トレンドに入っていました。そのため、金曜日の時点で逆指値を使って損切りの注文をしていた人もいることでしょう。

しかし、月曜日に株価が急落したので、逆指値が通らなかった人もいると思われます。例えば「4,200円を下回ったら4,180円で売り」というような逆指値注文をしていたとすると、その注文は成立しなかったことになります。

このように逆指値も万能ではないということを覚えておきましょう。