効率良く利益を上げてる企業の探し方

7月 07
2010



最近はPER/PBRと並んで「ROE」という指標が重視されるようになってきました。
ROEは、株主資本を有効活用しているかどうかを表す指標です。ここでは、ROEの見方や意味について学びます。

企業の目的は利益を上げることですが、同じ利益をあげるなら、なるべく効率が良いことが望ましいでしょう。「効率よく利益を上げているかどうか」を確かめる指標はいくつかありますが、株主の視点から見た指標として「ROE」が重視されています。

ROEは「Return On Equity (リターン・オン・エクイティ)」の略で、日本語では「株主資本利益率」と呼びます。 「企業の純資産は株主のものである(純資産=株主資本)」ということを学びましたが、その株主資本を使って、どれだけ効率よく利益を上げているかを表すのが、ROEの役割です。 ROEは次のようにして計算します。単位はパーセントです。

例えば、トヨタ自動車の2005年3月期の情報では、当期純利益が1兆1712億6000万円、純資産(株主資本)が9兆449億5000万円です。これらからROEを計算すると、次のようになります。

同じ株主資本で、より多くの当期純利益をあげるほど、効率が良いと言えます。例えぱ、1,000億円の株主資本で、当期純利益を10億円しかあげられない企業と、100億を上げられる企業とを比較すれば、後者の方が効率が良いのは明らかです。 この両者でROEを計算してみると、前者は1%、後者は10%になります。

つまり、ROEが高いほど、株主資本を効率よく利用して利益を上げていることになります。したがって、株主の立場からすれば、ROEが高いことが望ましいと言えます。 

なお、現在のROEの値は、Yahoo!ファイナンス等のインターネットのサービスを使うと調べることができます。


 



ROEが重視されるようになった

7月 07
2010



株取引の世界では、最近はROEが重視される傾向が強くなっています。その理由についても学んでおきましょう。

●かつては「株式の持ち合い」が行われていた
かつての日本では、企業どうしで株を持ち合ってお互いに安定株主になり、買収から逃れるということが行われていました。特に、銀行と企業との間で株を持ち合って、銀行は企業を支配下におき、また企業は銀行から資金を借りやすくする、ということも行われていました。

本来、株を大量に持っていれば、株主総会で議案を出したりして、その企業の経営にいろいろと関与することもできます。しかし、株式を持ち合っている企業どうしでは、相手の企業の経営に対して口を挟むようなことは行わず、お互いに「物言わぬ株主」を通していました。

●株式持ち合いが崩れた
しかし、株はただ保有しているだけではほとんど利益を生みません(配当をもらえるぐらいです)。これに対して、株は資産の一種であり、株を大量に保有すると、それにつれて純資産(株主資本)も増えます。その結果、株式持合いを行うと、「純資産(株主資本)が多いのに、利益があまり出ない」という状態になります。つまり、株式持合いは、ROEを低める働きをすることになります。

例えば、純資産が1,000億円で、当期純利益が100億円の企業があるとします。この企業が仮に他社の株を保有して、それによって純資産が500億円増えるものとします。また、その株の配当によって当期純利益が20億円増えるとします。すると、次の図のように、ROEが10%から8%に低下してしまいます。

さらに、バブル崩壊で株価が下落して、持ち合っている株の資産価値も減少してしまいました。このように、もはや持ち合い株は「お荷物」と言えます。その結果、持ち合いの解消が起こり、企業が株を売ることが多くなりました。


 



ROEを高める事が要求されるようになった

7月 07
2010



株式の持ち合いが崩れる一方で、外国人投資家など、投資目的で株を持つ大口投資家が株を保有する割合が高まりました。そして、企業に対して「株主資本に見合った利益を上げろ」と要求することが多くなってきました。
 
その結果、企業側もROEを重視せざるを得なくなってきました。ここ数年では「ROEを○○%に引き上げることを経営目標にする」と言う企業も増えています。逆に言えば、ROEを軽視するような経営をしている企業は、大口の投資家に見放される可能性が強くなり、株価が下がることが予想されます。「ROEを重視している企業かどうか」ということは、重要なチェックポイントだと言えるでしょう。
 
ただし、日本企業のROEは、以前よりは改善したものの、まだそれほど高くありません。アメリカの企業では、ROEが20%ぐらいあるところは珍しくありません。しかし、日本の企業ではROEが10%を超えているところは少なく、一ケタ台の%のところが多くなっています。