株価と1株当たり利益の関係PER

6月 08
2010



個々の企業の株価は業績に大きく影響される傾向があります。ここでは、業績と株価の関係を学んでいきましょう。

企業の株価を決める要因はいろいろありますが、中でも「1株あたり利益」は大きな要因です。まず、その理由から学びます。

1株あたり利益とは

1株あたり利益とは、当期純利益を発行済み株式数で割った値です。式で書くと次のようになります。

例えば、トヨタ自動車の2004年3月期の場合、当期純利益が1兆1620億9800万円で、発行済み株式数が36億999万7千株です。この場合の1株あたり利益は次のように計算できます。

1株あたり利益が多いと株価も高くなる

株を持っていると、決算のたびに配当をもらうことができます。配当は、各種の費用や税金を支払ったあとの利益(=当期純利益)の中から、株主に支払われることになっています。したがって、1株あたりの配当は、原則として1株あたりの当期純利益の範囲内で支払われることになります。

となると、1株あたりの当期純利益が多い銘柄は、配当もたくさん支払われることが予想されます。例えば、1株あたり利益が10円の企業だと、配当は1株あたり数円程度にしかならないでしょう。

これに対して、1株あたり利益が100円ある企業なら、1株あたりの配当は数十円になるでしょう。

1株あたりの配当が高いほど、その株の魅力(価値)は高いので、株価も高くなる傾向があります。このように、株価のおおまかな水準は1株あたりの利益に比例して決まる傾向があります。

なお、1株あたり利益は、英語では「Eamings Per Share (アーニングス・パー・シェア)」となります。その頭文字を取って「EPS」と呼ぶこともあります。

また、会社四季報では、当期純利益の右の列に1株あたり利益が掲載されています。ただし、掲載されているのは「調整1株益」という値になっています。そのため、単純に当期純利益を株数で割った値にはなっていない場合もあります。

「株価は1株あたり利益に比例して決まる傾向がある」ということを学習しました。比例するのですから、式で表示すれば、

株価≒A×1株あたり利益(Aは任意の数字)

と表すことができます。これは「株価は1株あたり利益を何倍かした値になる」と言いかえることもできます。
この倍率のことを、日本語では「株価収益率」と呼びます。また、英語では「PriceEamings Ratio (プライス・アーニングス・レシオ)」となり、頭文字をとって「PER」と呼びます。単位は「倍」です。

PERは次のように計算することができます。

例えば、トヨタ自動車の2004年3月期の1株あたり利益(調整後)は342.9円です。そして、2005年4月時点での株価は4,000円前後です。株価を4,000円としてPERを計算すると、次のようになります。

株取引は将来を予想して行うものなので、1株あたり利益としては、予想値を使うことが一般的です。その場合のPERを「予想PER」と呼びます。これに対して、すでに確定している決算の数値を使う場合は「実績PER」と呼びます。

なお、個々の企業の現在のPERは、Yahoo!ファイナンス等のインターネットのサービスを使うと調べることができます。


 



PERの目安とそれによる銘柄の判断

6月 08
2010



利益が少ないのに株価が高い銘柄は、実際の価値以上に株が買われていると考えられます。利益に比べて株価が高い場合、PERの式では分子が大きく、分母が小さくなります。そのため、PERの値は大きくなります。

逆に利益が出ているのに株価が低い銘柄は、利益が出ていることがあまり評価されていなくて、株価が安い状態にとどまっていることになります。この場合、PERの値は小さくなります。

例えば、1株あたり利益が10円で、株価が100円の銘柄Aと1,000円の銘柄Bがあるとしましょう。この場合、それぞれのPERは次のように求められます。

銘柄A → 100円÷10円=10倍
銘柄B → 1,000円÷10円=100倍

このように、PERが高いということは、利益の割に株価が高いことを意味します。そのような状態は長くは続かないので、PERが高い銘柄は買うのにはあまり適していません。

これに対して、PERが低い銘柄は「利益が出ているのに株価が安い」ということが見直されれば、株価が上がる可能性があります。したがって、投資対象として適しています。

ただし、将来性の薄い企業だと、利益もそれほど伸びないと思われるので、PERが低いままで放置されるのが普通です。これに対して、今後に大きく伸びそうな企業の場合、株が先行して買われて株価が高くなりやすく、PERも高くなる傾向があります。

単純に「PERが低いから買い」ではなく、その企業の成長性も考慮した上で、投資に適しているかどうかを判断するようにしましょう。理想的なのは「成長性が高いと思われるのに、PERが低い銘柄」ということになります。

PERの目安は20~30倍

多くの日本企業のPERは20倍前後です。したがって、PERから投資対象銘柄を判断する場合は、この水準を目安にして、それよりPERが高い場合は投資対象からはずすようにすると良いでしょう。

また、同業他社と比べてPERが高い銘柄は、他社に比べて株価が割高になっていると考えられるので、投資対象からはずす方が無難です。