ROEが重視されるようになった

7月 07
2010



株取引の世界では、最近はROEが重視される傾向が強くなっています。その理由についても学んでおきましょう。

●かつては「株式の持ち合い」が行われていた
かつての日本では、企業どうしで株を持ち合ってお互いに安定株主になり、買収から逃れるということが行われていました。特に、銀行と企業との間で株を持ち合って、銀行は企業を支配下におき、また企業は銀行から資金を借りやすくする、ということも行われていました。

本来、株を大量に持っていれば、株主総会で議案を出したりして、その企業の経営にいろいろと関与することもできます。しかし、株式を持ち合っている企業どうしでは、相手の企業の経営に対して口を挟むようなことは行わず、お互いに「物言わぬ株主」を通していました。

●株式持ち合いが崩れた
しかし、株はただ保有しているだけではほとんど利益を生みません(配当をもらえるぐらいです)。これに対して、株は資産の一種であり、株を大量に保有すると、それにつれて純資産(株主資本)も増えます。その結果、株式持合いを行うと、「純資産(株主資本)が多いのに、利益があまり出ない」という状態になります。つまり、株式持合いは、ROEを低める働きをすることになります。

例えば、純資産が1,000億円で、当期純利益が100億円の企業があるとします。この企業が仮に他社の株を保有して、それによって純資産が500億円増えるものとします。また、その株の配当によって当期純利益が20億円増えるとします。すると、次の図のように、ROEが10%から8%に低下してしまいます。

さらに、バブル崩壊で株価が下落して、持ち合っている株の資産価値も減少してしまいました。このように、もはや持ち合い株は「お荷物」と言えます。その結果、持ち合いの解消が起こり、企業が株を売ることが多くなりました。





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